「古屋敷の秘密、卵の真実」山北周辺散策

山北の自宅から15km小田原の曽我原 地元の野菜や果物、梅干しを扱う素敵なお店があるんだ。
この辺り、梅干しが名物らしい。
 
そのお店に向かう途中、古い大きな屋敷の門の前で卵の販売の幟を見つけた。
こだわりの卵を売ってそうだな、ちょっと寄ってみるか。
車を塀の前に停めて、門をくぐり、家屋に向かって歩くと、
販売所の看板が目に入る。でも、店って感じじゃない。古いお屋敷だ。
 
人がいたので聞いてみる。 俺「卵を買いに来たんだけど、ここでいいの?」 おじさん「卵売ってるよ。」 俺「おいくらですか?」 おじさん「一個100円!」 高っ!
 
俺のイメージでは、1パックで300円から400円くらいだったから、想像の3倍にびっくり。
俺が「いい値段ですねぇ」と言うと、おじさんが老眼鏡越しに俺を睨みながら、
「お父さん、ここの卵は普通の卵じゃないよ。ちょっと見てみな!」と言って、
1個100円の卵を割って皿に開けてくれた。
白身の盛り上がり方、半端ない。
これは確かに良いものだ。
 
驚いていると、おじさんが鶏の餌について教えてくれた。
あるお店から出た魚のアラを混ぜてるんだって。
「こっちに来てみな!」と言って、屋敷の裏庭に案内され、鶏の餌になる鍋を見せてもらった。
魚のアラの上に切ったかぼちゃが入ってる。
これも全部鶏用だそうだ。
鶏はこの広い庭で放し飼い。手間がかかってるから、100円でも安いという。確かに!
 
おじさん曰く、「美味しい卵を産んでくれる鶏に感謝してるんだよ。持ちつ持たれつだよ。
右も左も向けずにケージに入れられて、抗生物質やら何やらの餌を食べさせられてる鶏の卵とは全然違うんだよ。」
 
ここまで話を聞いて、タダで帰るわけにはいかない。俺「よくわかりました。5個買います!!」 おじさん「1パック(10個)買って行きなよ。」 俺「一人暮らしなので、古くなっちゃうんですよ。」で、おじさんに納得してもらう。
 
5個じゃ合わないんだけど…と言いつつ、さっき割った卵に醤油をかけて、
「食べてみな」とおじさん。
ズズズと啜って、美味しい。6個買うことにした。
 
おじさんが語る。
「俺はちゃんとしたものしか作らないんだよ。
大根も作ってるけど、梅祭りで全部売れちゃう。
梅干しだって全国から注文が来る。
ちゃんとしたものを食べると体に根が生えてくるんだよ。」
 
老眼鏡の大きな目でニコリともせず、仕事に信念とプライドを感じた。
こういう方の作るものは間違いない!
そして「また来な!」と言って、ゴーヤをくれた。
また来ます。
 
小田原鋳物研究所あすなろファーム